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 こちらでは、制作にまつわるテキストや講評・展評をご覧いただけます。

Beginning of a World, When Stories are Born –Gallery b. Tokyo, Tokyo 2016.

Artist Text:
物語が生まれるとき、世界がはじまる

 遥か昔から人々は、民話や伝説、神話を創造しながら、それらの物語を通して自らを取り巻く世界への理解を深めてきた。

 未知なるものに対して畏怖しつつも神秘を感じ、神聖性を認めて崇め祀り、物語を創造するとともに未知に対するイメージを築きあげていったのだ。
 

 物語とは、そのような未だ知らぬものへの理解を深める手段であり、個人や集団や社会の根拠を規定するためのプロセスと言えるだろう。
 

 物語によって、私たちはいまここに、どうして存在するのかを直感することができるのだ。

 すなわち世界は、物語によってはじまると言えるだろう。

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2016. 8.

福山 竜助

個展​「物語が生まれるとき、世界がはじまる」の展示テキストより

Prayer for Wreckage of Reveries –Satellite Gallery of Aichi University of the Arts, Aichi 2013.

Review:
個展「夢想の残骸への祈り」の展評

 展示室に入ると、黒い葉が茂る深い映像の森に迷い込んだような視覚的な錯覚に陥る不思議な絵画空間に誘われる。若手の平面は浮薄化し弱くなったとよくいわれるが、新しい才能に遭遇する喜びもときにはあるものだ。

 福山は1981年に大阪で生まれ、成安造形大学で立体を学んだ後、愛知県芸大大学院で平面に研さんを重ねた。平面作品は近年の創作だが、そこには絶えず立体的な世界を意識した空間構築があるようだ。

 平面と彫刻の境界をどう処理するのかという課題に対面するとき、画家の脳内には夢想という儚いモチーフが浮かぶ。画面を効果的に支配するのは、舞い散るような葉のような黒い浮遊物。

 浮遊物の形態は顔にもただの構成的な配置にも見え、だまし絵的な視覚への揺さぶりを生じさせる。意識するという「黒い太陽」という存在は、創作の在り方の根底にある。黒色が醸し出すぎりぎりの所にある生に、死の匂いも控える。

 黒はある種の影絵であり、背後に漂う幻灯のような光彩と反応して重層性を増す。

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2013. 6. 12.

黒谷 正人   中日新聞 編集局 文化部

中日新聞より

Works, Kyoto 2011-2013.

Artist Text:
夢想の残骸への祈り

  夢想がそれぞれの時代や社会、あるいは僕自身を覆うことがある。

 しかし、それは長くは続かない。ある時、ある瞬間に崩壊する。

 そうして夢想は残骸と化し、 歴史のなかに消えていく。

 僕は、消えた残骸を拾い集めて祈りを捧げる。

 つくるということは、きっとそういう行為なのだろう。

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2013. 5.

福山 竜助

個展​「夢想の残骸への祈り」の展示テキストより

Scenery in Dim Light –Tokyo Wander Site Hongo, Tokyo 2012.

Review:
個展「薄明かりの風景」展評

 明け方の光景を定着させる、という動機から出発し、多色の地を作ってそこに黒い形態を配置する、という今の手法に至ったと聞きました。

 この手法の発見が、当初の目論見よりさらに複雑な効果と思考を引き出す結果をもたらしたと感じます。

 地は特に色や配置を決めることなく作り、黒い部分についても、あらかじめ具体的な形を決めず、画面内のあちこちに少しづつ置いていくやり方で描き進めるとのことでした。しかしそこには、繰り返し一つの形が現れたり、おのずと左右対称の構図が出来上がったり、黒い形態がちょうど植物の成長のように下から上へと伸びる運動を孕んでいたりと、どこから訪れるのかわからない造形の法則がいくつか生じています。

 ここに、作家が身を開いてこうした法則の到来を待ち受けるような、不思議な受動性とその可能性が感じられました。油絵という素材の選択も重要です。すぐに乾き描き直しのきかないアクリルに対して、乾燥に時間を要する油絵具は、その生成に必要なだけのゆっくりとした時間を黒い形態にあたえているのです。

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2012. 8.

蔵屋 美香   東京国立近代美術館 美術課長

「TWS-emerging 2012」展覧会カタログより

Works, Kyoto 2011-2012.

Artist Text:
「薄明かりの風景」によせて

「薄明かりの風景」とは、光と影が混ざり合う風景、つまり何かと何かが混ざり合う境界線上の風景と言えます。

 神話やお伽噺のなかでは、自然も人も動物も植物もときに互いの境界を越えて変身や合体をしていきます。それらはまるで夢そのもののように、境界線上のあいまいなイメージとして矛盾を含みつつ存在するのです。

「薄明かりの風景」にも神話やお伽噺のようなそうしたイメー ジが現れます。そしてそれらの風景が、一つひとつ緩やかに繋がり“ ものがたり” となっていきます。

 先の見えない薄明かりのなかで、一体どのような風景を“見る”ことができるのか。そしてそこからどのような“ ものがたり” を見出すことができるのか。それがこの展覧会での作りたかったものです。

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2012. 8.

福山 竜助

個展​「薄明かりの風景」の展示テキストより

Works, Kyoto 2011-2012.

Artist Text:
無限に連なる部屋の中で

 人の心にはいくつもの部屋が存在する。それらの部屋には様々な種類と階層があり、よく出入 りする部屋と、ほとんど出入りすることのない部屋がある。そうした部屋のあり方の差異によっ て人の心は意識的、無意識的にかたちづくられているのではないだろうか。

 

 ひとつの作品は心の中のひとつの部屋のようなものだ。作品によって表現される様々なイメー ジは、毎日の生活の中でとくに意識することのなかった部屋の存在を僕に教えてくれる。そして そこには、これまで閉じ込めてきたものや、捨て去ってきたもの達が存在しているのだ。

 それらの存在は、僕自身の影なのだと思っている。

 

 部屋の中にいる影。それを知ることは、自身をより深く理解する上で欠かせないことだと思っている。なぜなら光と影は表裏一体のものだからだ。だからこそ部屋としての作品をつくりだし てはその中へ入っていくのだろう。

 それらの部屋のすべてが僕にとって意味のあるものになるとは限らない。だが、それでも探索を繰り返しながらその奥へと足を踏み入れていく。

 

 ひとつひとつのイメージとの出会いに感覚を研ぎすますことができれば、そのある種の自画像とも言える作品を通して人の心の深みにあるイメージを、そして芸術を捉えることができるのではないかと思っているからだ。​

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2011. 3.

福山 竜助

制作ノートより

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©Rusfum

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